0033)低き雲 青き空とで 野を分きて 天の何処に 日の隠るらむ

低き雲 青き空とで 野を分きて   天の何処に 日の隠るらむ 『低く垂れ込めた雲と、まるで不似合いな青空との二つが野原を分けている、台風間近のこの天空の、一体どこに太陽は隠れているのだろうか?』 ← 前章へ戻る  『うた [...]

0032)わくらばに 月見る事も 無かりけり 見つべき物も 他に在らなくに

わくらばに 月見る事も  無かりけり   見つ/満つべき物も 他に在らなくに 『そういえば、時折月を眺めることも、久しくせずにいたものだなあ。月以外には、特に見るべきものも、満ち足りた何かも、あるわけでもないというのに。 [...]

0031)会はで猶 斯くは恋しき 縁在れば 慰みてむや 泡沫の人

会はで(泡で)猶 斯くは(描くは)恋しき  縁(絵に)在れば   慰みてむや 泡沫の人 『会うことがなくてもなおもこんなに恋しいのは、深い縁があればこそ。もやもやとした私の気持ちを和らげてくれませんか、我が愛しき恋人よ。 [...]

0030)有りぬべき 夢の形の 夜にも無み 寄する恨みも 漸凪ぎぬらし

有りぬべき 夢の形の  世(夜)にも無み(浪)   寄する恨み(浦曲)も 漸凪ぎぬらし(泣き濡らし) 『当然あるものと思っていた理想の姿が、現実の世界にもなく、このところは夢に描くことさえもなくなってしまったので、海辺に [...]

0029)有らざりし 事ある今と 有りつべき 事無き先と 何れ勝れる

有らざりし 事ある今と  有りつべき   事無き先と 何れ勝れる 『今までになかった新たな事柄が眼前に立ちはだかるたびごとに、文句を言う人はいるけれど、今までずっとあり、これからも当然あるだろうと思っていた事柄が次第次第 [...]

0028)我は唯 生きて侍りと つれなくて 書くもをかしき 折折の文

我は唯 生きて侍りと  つれなくて   書くも/斯くもをかしき 折折の文 『ただ「自分は健在ですよ」というだけのこと・・・何とも素っ気ないこんな手紙、書くのもおかしなものではあるが、折りに触れて舞い込むだけで、妙に趣ある [...]

0027)良し悪し 綾目も知らず 戯れて 頓て愛しき 猫に左右無し

良し悪し 綾目も知らず  戯れて   頓て愛しき 猫に左右(双)無し 『良いも悪いも何もわからずにじゃれあいふざけているだけなのに、それだけで可愛い猫というやつには、善悪の価値判断もなければ、並び立つ愛玩動物も他にいない [...]

0026)無下の如 地下に縛せる 主のみ 無期に守りて 居ぬ時の無し

無下の如 地下に縛せる  主のみ(の身)   無期に見守り(守り)て 犬(居ぬ)時の無し 『最低の存在であるかの如く、地べたに鎖で自分を繋ぐ主人の身を、その人の事ばかりを、じっと見守り、あるいは守り、いつも側に居て、しか [...]

0025)口の端に 宿る命も 有りと為ば 詠みに向かはむ 永久の歌

口の端に 宿る命も  有りと為ば   詠み(黄泉)に向かはむ 永久の歌 『人口に膾炙することで生まれる生命というものもこの世にはあるのだと考えるならば、悠久の時を越えて語り継がれる名歌こそは、死による滅却に対抗し得る永遠 [...]

0024)死の町か 思ひ出村か 墓と言ふは 問へど答ふる 人の影なし

死の町か 思ひ出村か  墓と言ふは   問へど答ふる 人の影なし 『墓所とは果たして、死者の来世の住み家なのか、それとも弔問客の思い出だけが眠る地なのか。問いを投げても答えを返してくれる人は誰もいない・・・少なくともこの [...]

0024)しのまちかおもひでむらかはかてふはとへどこたふるひとのかげなし

← 前章へ戻る  『歌詠み上戸』  次章へ進む → ★自分の「ツィッター」アカウント上で、この『うたよみじゃうご』の一首を紹介してみる→Tweet ・・・歌の謎解きは1日~数日後に。。。 それまで、我と思わん解釈子あらば [...]

0023)言はねばや 離れとし離れる 日々の果て 猶枯れ果てぬ 君の面影

言はねばや 離れとし離れる  日々の果て   猶枯れ果てぬ 君の面影 『はっきり「好き」と告白しなかったせい、でしょうか、どんどん疎遠になってしまった日々の果てに、今なお枯れ果てることのないあなたの面影を、胸に抱いて生き [...]

0023)いはねばやかれとしかれるひびのはてなほかれはてぬきみのおもかげ

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0022)夏は唯 生くがいみじき ものゆゑに 秋行かで詠む 歌も無かめり

夏は唯 生く(行く)がいみじき  ものゆゑに   秋行かで(飽き行かで)詠む 歌も無かめり 『夏というのは、ただひたすら生きているだけで素晴らしい季節であって、それが去ってしまうのがひどく悲しいものだから、未だ秋になるこ [...]

0021)長き夜を 飽かで明かしし 人を無み 一人向き合ふ 閨の暗闇

長き夜を 飽かで明かしし  人を無み   一人向き合ふ 閨の暗闇 『長い夜も、飽きることなく二人で明かしたあの人は、今はもういないので、一人こうして寝室の暗闇と向き合っている私なのです。』 ← 前章へ戻る  『うたよみじ [...]

0021)ながきよをあかであかししひとをなみひとりむきあふねやのくらやみ

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0020)世の為と 勇みて為すも 我の為 問ふな誰が為 皆己が為

世の為と 勇みて為すも  我の為   問ふな誰が為 皆己が為 『世の中のために、と力みかえって何かをしても、よくよく見ればそれは自分自身のためにしている事だったりする・・・が、「あなたは誰のためにそれをしているのですか? [...]

0020)よのためといさみてなすもわれのためとふなたがためみなおのがため

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0019)我はまだ 斯かりと知るや 忘れしや 会ふも中中 忘れじの人

我はまだ 斯かりと知るや  忘れしや   会ふも中中 忘れじの人 『私はいまだにこうして、あなたへの想いを抱えたまま生きている、などと、知っているのだろうか、それとももう私のことなど忘れてしまっただろうか・・・あぁ、今も [...]

0019)われはまだかかりとしるやわすれしやあふもなかなかわすれじのひと

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0018)得るほどに 失する想ひの 恐ろしさ 然れど止まれぬ 泡沫の恋

得るほどに 失する想ひの  恐ろしさ   然れど止まれぬ 泡沫の恋 『好きになって、わがものにして、でもまた冷めて、失って・・・それを思えば怖いのに、わかっていてなお止めようがない・・・束の間だけとは知りながら、恋の力は [...]

0018)うるほどにうするおもひのおそろしさされどやまれぬうたかたのこひ

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0017)火を点けて 消しもせで行く 想ひ人 見ずもあらばや 想ひ消たなむ

火を点けて 消しもせで行(生)く  想ひ人   見ず(水)もあらばや 想ひ消たなむ 『私の心に燃えるような想いを抱かせておいて、その熱い気持ち、消してくれもせぬまま、平然と生きているあの人・・・できればその姿を見ずにいた [...]

0016)雲の果て 青き美空の かなしさを 同じ心に 人も見るらむ

雲の果て 青き美空の  かなしさを   同じ心に 人も見るらむ 『雲の彼方に広がる美しい青空、その切々と心に染みる眺めを、私と同じような気持ちで、どこかであの人も見ているのだろうか?』 ← 前章へ戻る  『うたよみじゃう [...]

0016)くものはてあをきみそらのかなしさをおなじこころにひともみるらむ

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0015)大人とは 泣かぬものとや  思ひけむ  野辺に罵る 幼子の声

大人とは 泣かぬものとや  思ひけむ   野辺に罵る 幼子の声 『人は大人になったら泣かないもの、と思っていたのだろうに、大勢の大人が集まってわんわん泣いている光景が、きっと恐ろしかったのだろうなあ、死者を弔う野辺の送り [...]

0015)おとなとはなかぬものとやおもひけむのべにののしるをさなごのこゑ

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0014)夕焼けに 目映き君の 黒髪を 何時か朝日に 透き梳らばや

夕焼けに 目映き君の  黒髪を   何時か朝日に 透き(好き)梳らばや 『夕焼けを浴びて目にも鮮やかに光る君の黒髪、素敵だね。あぁ、いつの日か、僕の手でその髪を、朝日に透かしつつ梳かしてみたいなぁ。』 ← 前章へ戻る   [...]

0013)如何に生く その問ひ掛けの 答えのみ 追ひて気付けば いざ見果ててむ

如何に生(逝)く その問ひ掛けの  答えのみ   追ひ(老い)て気付けば いざ見果ててむ 『どうやって生きるべきか?どのように死ぬべきか?その問い掛けへの答えばかりをひたすら追い求めるうちに、気付けば自分は老い果ていて・ [...]

blog0002)「本」じゃ咲かない作家の花

<「本」じゃ咲かない作家の花> by 之人冗悟(Noto Jaugo) ●「作家」=「印税」や「原稿料」で喰ってる人達・・・?  世に「売文稼業」というのがあって、「一枚なんぼ」・「一文字いくら」の取り決めで出版業界(「 [...]

0012)当てもなく 彷徨ふ世にも 果てあれば いさよふ心地 酔ひ痴れるかも

当てもなく 彷徨ふ世にも  果てあれば   いさよふ心地 酔ひ痴れるかも 『当てもなくさまようばかりの人生にも、終わりがあるから、意味なく過ごすばかりで嫌な人生だったと思っても、何となく去り難く感じたり・・・その感じに酔 [...]

■■サイト主宰者 之人冗悟(Noto Jaugo)の本■■

■当サイト主宰者 之人冗悟(Noto Jaugo)の手になる「古文・和歌」、そして「古文単語」の本、その内容に興味があれば、以下のリンクから開いて立ち読みされたし。 ・・・いずれも現在、発刊準備中・・・入手可能になるまで [...]

0011)今日の身を 繋ぐに暮るる 日の果てに 何処浮かばむ 常し世の蔭

今日の身(のみ)を 繋ぐに暮るる  日の果てに   何処浮かばむ 常し世の蔭 『今日一日をどうやって食いつなごうか、ただそれだけに汲々とし、途方に暮れつつ終わってしまう毎日、そんなことばかり続けていても、その先に永続的な [...]

0010)蟋蟀 鳴き勝る夜の 空蝉は 明日も鳴くとて 如何生くべき

蟋蟀 鳴き勝る夜(世)の  空蝉は   明日も鳴く(無く)とて 如何生くべき 『こおろぎの鳴き声が夜を支配するようになってしまった晩夏の蝉には、もう明日もない感じだが、だからといって鳴き止むわけにも行かない・・・一体、ど [...]

blog0001)「本」の世界の本当の事情

<「本」の世界の本当の事情> by 之人冗悟(Noto Jaugo) ・・・全てのバクチの必勝法はただ一つ:「胴元(=開催者)になるがよい」。個々の博打打ちが勝ったり負けたりを繰り返す中で、確実に一人だけ絶対に儲け続ける [...]

0009)人と会ひ 我を忘るる 折りに浮く 我が姿こそ あらまほしけれ

人と会ひ 我を忘るる  折りに浮く   我が姿こそ あらまほしけれ 『誰かと会って、我を忘れる体験をすれば、その心浮き立つ思いの中から浮かび上がる自分自身の姿こそ、理想の自己像というものだ。』 ← 前章へ戻る  『うたよ [...]

0008)古の 事なら今日に 在らましや 末や似るとて 踏み初めて見む

古の 事(言・古都)なら今日に(奈良・京に)  在らまし(あらまし)や   末や似るとて 踏み初め(文染め)て見む 『大昔の事ならば、今日なお存在するなどということがあろうか?古代の末裔たる現代にも似たところがあるのだろ [...]

0007)咲き切って 散るか然ならぬ 徒花か 疾しを嘆くな 為しを問ふべし

咲き切って 散るか然ならぬ  徒花か   疾し(歳)を嘆くな 為しを問ふべし 『最後まで咲ききった花の如き見事な大往生か、そうではなくて実を結ぶことなく枯れた徒花として終わったか・・・早過ぎる死だと言ってその享年の短さを [...]

0006)草いきれ 臭ひに浮ける 虫追ひの 遠き畦道 子等や尚行く

草いきれ 臭ひに浮ける  虫追ひの   遠き畦道 子等や尚行く 『夏の暑い空気に浮かぶ草いきれ、その濃密な緑の臭いに触発された思い出の中に浮かぶのは、遠い日にわくわくしながら虫を追いかけて辿った田舎の畦道・・・今でも子供 [...]

0005)夏去らば 愈聞こえむ 空蝉の  鈴鳴りの声 人にかも似る

夏去らば 愈聞こえむ  空蝉の   鈴鳴りの声 人にかも似る 『夏が去ったならば、ますます激しく鈴を連ねたように聞こえるであろう、今を限りの蝉の声、それは人間に似ていないでもない。』 ← 前章へ戻る  『うたよみじゃうご [...]

0004)咲かずとも 在らばめでたき 花惜しむ 人故にこそ 如何で咲かなむ

咲かずとも 在らばめでたき  花惜しむ   人故にこそ 如何で咲かなむ 『花開かなくともいい、生きていてくれさえすればそれでいい、なんて、ただひたすらに自分のことを大事に思ってくれる人のためにこそ、何とかして一花咲かせて [...]

0003)死ぬは唯 生くるに如かじと 在る世にも  刹那燦めく 花火哀しも

死ぬは唯 生くるに如かじと  在る世(夜)にも   刹那燦めく(切なき) 花火哀しも 『生きている、と言ってもそれはただ、死んだって生きてるよりマシってことはあるまい、と思えばこそなのだけど、そんな風に生きてるこの世の中 [...]

0002)人や愛づる 思ひ出遠き 空の下 誰と見上ぐる 夏の夜の花

人や愛づる 思ひ出遠き  空の下   誰と見上ぐる 夏の夜の花 『あの人も、今頃は喜んで見ているのだろうか?一緒に見た思い出ももう遥かな昔のものとなってしまったけれど、夏の夜空に咲く華のような花火を、遠いどこかの空の下で [...]

0001)斯くて在りと 書く間も惜しき 夏なれば 秋の来るまで 歌ふ由なし

斯くて在りと 書く間も惜しき  夏なれば   秋(飽き)の来るまで 歌(訴)ふ由なし 『自分はこうして生きていました、なんて書く時間さえも惜しまれる季節が夏なので、忙しく立ち回るのにも飽き、秋がやって来るまでは、歌など詠 [...]