宇治拾遺物語(巻一 一)001道命阿闍梨和泉式部の許において読経し五条の道祖神聴聞の事

  今は昔、道命阿闍梨とて、傅殿の子に、色に耽りたる僧ありけり。和泉式部に通ひけり。経をめでたく読みけり。それが和泉式部がり行きて臥したりけるに、目覚めて経を心すまして読みけるほどに、八巻読み果てて、Continue reading… 宇治拾遺物語(巻一 一)001道命阿闍梨和泉式部の許において読経し五条の道祖神聴聞の事

宇治拾遺物語(巻一 五)005随求陀羅尼額に籠むる法師の事

  これも今は昔、人のもとに、ゆゆしくことごとしく斧負ひ、法螺貝腰につけ、錫杖つきなどしたる山伏の、ことごとしげなるが入り来て、侍の立蔀の内の小庭に立ちけるを、侍、「あれはいかなる御坊ぞ」と問ひければContinue reading… 宇治拾遺物語(巻一 五)005随求陀羅尼額に籠むる法師の事

宇治拾遺物語(巻一 六)006中納言師時法師の玉茎検知の事

  これも今は昔、中納言師時といふ人おはしけり。その御もとに、ことの外に色黒き墨染の衣の短きに、不動袈裟といふ袈裟かけて、木練子の念珠の大きなる繰りさげたる聖法師入り来て立てり。中納言、「あれは何するContinue reading… 宇治拾遺物語(巻一 六)006中納言師時法師の玉茎検知の事

宇治拾遺物語(巻一 七)007龍門の聖鹿にかはらんと欲する事

  大和国に、龍門といふ所に聖ありけり。住みける所を名にて龍門の聖とぞ言ひける。その聖の親しく知りたりける男の、明け暮れ鹿を殺しけるに、照射といふ事をしけるころ、いみじう暗かりける夜、照射に出でにけりContinue reading… 宇治拾遺物語(巻一 七)007龍門の聖鹿にかはらんと欲する事

宇治拾遺物語(巻一 八)008易の占ひして金取り出す事

  旅人の宿求めけるに、大きやかなる家のあばれたるがありけるに寄りて、「ここに宿し給ひてんや」と言へば、女声にて「よき事、宿り給へ」と言へば、皆おりゐにけり。屋大きなれども、人のありげもなし。ただ女一Continue reading… 宇治拾遺物語(巻一 八)008易の占ひして金取り出す事

宇治拾遺物語(巻一 九)009宇治殿倒れさせ給ひて実相房僧正験者に召さるる事

  これも今は昔、高陽院造らるる間、宇治殿、御騎馬にて渡らせ給ふ間、倒れさせ給ひて心地違はせ給ふ。「心誉僧正に祈られん」とて召しに遣はすほどに、いまだ参らざる先に、女房の局なる女に物憑きて申していはくContinue reading… 宇治拾遺物語(巻一 九)009宇治殿倒れさせ給ひて実相房僧正験者に召さるる事

宇治拾遺物語(巻一 十)010秦兼久通俊卿のもとに向かひて悪口の事

  これも今は昔、治部卿通俊卿、後拾遺を撰ばれける時、秦兼久行き向かひて「おのづから歌などや入る」と思ひてうかがひけるに、治部卿いで会ひて物語して、「いかなる歌かよみたる」と言はれければ、「はかばかしContinue reading… 宇治拾遺物語(巻一 十)010秦兼久通俊卿のもとに向かひて悪口の事

宇治拾遺物語(巻一 十一)011源大納言雅俊一生不犯の鐘打たせたる事

  これも今は昔、京極の源大納言雅俊といふ人おはしけり。仏事をせられけるに、仏前にて僧に鐘を打たせて、一生不犯なるを選びて講を行なはれけるに、ある僧の礼盤に上りて、少し顔気色違ひたるやうになりて、撞木Continue reading… 宇治拾遺物語(巻一 十一)011源大納言雅俊一生不犯の鐘打たせたる事

宇治拾遺物語(巻一 十二)012児の掻餅するに空寝したる事

  これも今は昔、比叡の山に児ありけり。僧たち、宵のつれづれに「いざ掻餅せん」と言ひけるを、この児、心寄せに聞きけり。「さりとて、し出さんを待ちて寝ざらんもわろかりなん」と思ひて、片方にて出で来るを待Continue reading… 宇治拾遺物語(巻一 十二)012児の掻餅するに空寝したる事

宇治拾遺物語(巻一 十三)013田舎の児桜の散るを見て泣く事

  これも今は昔、田舎の児、比叡の山へ登りたりけるが、桜のめでたく咲きたりけるに、風のはげしく吹きけるを見て、この児さめざめと泣きけるを見て、僧のやはら寄りて、「などかうは泣かせ給ふぞ。この花の散るをContinue reading… 宇治拾遺物語(巻一 十三)013田舎の児桜の散るを見て泣く事

宇治拾遺物語(巻一 十四)014小藤太聟におどされたる事

  これも今は昔、源大納言定房と言ひける人のもとに、小藤太といふ侍ありけり。やがて女房にあひ具してぞありける。むすめも女房にてつかはれけり。この小藤太は殿の沙汰をしければ、三とほり四とほりに居広げてぞContinue reading… 宇治拾遺物語(巻一 十四)014小藤太聟におどされたる事

宇治拾遺物語(巻一 十七)017修行者百鬼夜行にあふ事

  今は昔、修行者のありけるが、津の国まで行きたりけるに、日暮れて、竜泉寺とて大きなる寺の旧りたるが、人もなきありけり。これは人宿らぬ所といへども、そのあたりにまた宿るべき所なかりければ、いかがせんとContinue reading… 宇治拾遺物語(巻一 十七)017修行者百鬼夜行にあふ事

宇治拾遺物語(巻二 二)020静観僧正雨を祈る法験の事

  今は昔、延喜の御時、旱魃したりけり。六十人の貴僧を召して、大般若経読ましめ給ひけるに、僧ども、黒煙を立てて、験あらはさんと祈りけれども、いたくのみ晴れまさりて、日強く照りければ、御門をはじめて、大Continue reading… 宇治拾遺物語(巻二 二)020静観僧正雨を祈る法験の事

宇治拾遺物語(巻二 三)021同僧正大嶽の岩祈り失ふ事

 今は昔、静観僧正は西搭の千手院といふ所に住み給へり。その所は、南向きにて大嶽をまもる所にてありけり。大嶽の乾の方のそひに大きなる巌あり。その岩の有様、竜の口をあきたるに似たりけり。その岩の筋に向かひて住みける僧ども、命Continue reading… 宇治拾遺物語(巻二 三)021同僧正大嶽の岩祈り失ふ事

宇治拾遺物語(巻二 六)024厚行死人を家より出す事

 昔、右近将監下野厚行といふ者ありけり。競馬によく乗りけり。帝王より始めまゐらせて、おぼえ殊にすぐれたり。朱雀院の御時より村上帝の御時などは、盛りにいみじき舎人にて、人も許し思ひけり。年高くなりて西京に住みけり。  隣なContinue reading… 宇治拾遺物語(巻二 六)024厚行死人を家より出す事

宇治拾遺物語(巻二 八)026晴明蔵人少将を封ずる事

 昔、晴明、陣に参りたりけるに、前はなやかに追はせて、殿上人の参りけるを見れば、蔵人少将とて、まだ若くはなやかなる人の、みめまことに清げにて、車より降りて内に参りたりけるほどに、この少将の上に、烏の飛びて通りけるが、穢土Continue reading… 宇治拾遺物語(巻二 八)026晴明蔵人少将を封ずる事

宇治拾遺物語(巻二 九)027季通事に逢はむと欲する事

 昔、駿河前司橘季通といふ者ありき。それが若かりける時、さるべき所なりける女房を忍びて行き通ひけるほどに、そこにありける侍ども、「生六位の、家人にてあらぬが、宵暁にこの殿へ出で入る事わびし。これたて籠めて勘ぜん」といふ事Continue reading… 宇治拾遺物語(巻二 九)027季通事に逢はむと欲する事

宇治拾遺物語(巻二 十)028袴垂保昌に合ふ事

 昔、袴垂とていみじき盗人の大将軍ありけり。十月ばかりに、衣の用ありければ、衣少しまうけんとて、さるべき所々窺ひ歩きけるに、夜中ばかりに、人皆しづまり果てて後、月の朧なるに、衣あまた着たりけるぬしの、指貫の稜挟みて、絹のContinue reading… 宇治拾遺物語(巻二 十)028袴垂保昌に合ふ事

宇治拾遺物語(巻二 十一)029明衡殃に合はんと欲する事

 昔、博士にて、大学頭明衡といふ人ありき。若かりける時、さるべき所に宮仕へける女房を語らひて、その所に入り臥さんこと、便なかりければ、そのかたはらにありける下種の家を借りて、「女房語らひ出して、臥さん」と言ひければ、男あContinue reading… 宇治拾遺物語(巻二 十一)029明衡殃に合はんと欲する事