方丈記006)大地の激震・人の変心(元暦大震災:1185年7月9日)

 また、同じころとかよ、おびたたしく大地震ふること侍りき。そのさま、よのつねならず。山はくづれて、河を埋み、海は傾きて、陸地をひたせり。土裂けて、水湧き出で、巌割れて、谷にまろび入る。なぎさ漕ぐ舟は波にただよひ、道行く馬Continue reading… 方丈記006)大地の激震・人の変心(元暦大震災:1185年7月9日)

方丈記001)永遠の河・一瞬の水(鴨長明の無常観:1212年3月末)

 行く河の流れは絶えずして、しかも、元の水にあらず。淀みに浮かぶ泡沫は、かつ消え、かつ結びて、久しく留まりたる例しなし。世の中にある人と栖と、またかくの如し。  玉敷の都の内に、棟を並べ、甍を争へる、高き、賤しき、人の住Continue reading… 方丈記001)永遠の河・一瞬の水(鴨長明の無常観:1212年3月末)

方丈記002)営々の家・瞬壊の灰(安元三年の大火:1177年4月28日)

 予、ものの心を知れりしより、四十余りの春秋を送れる間に、世の不思議を見ること、やや度々になりぬ。  去んじ安元三年四月二十八日かとよ、風激しく吹きて、静かならざりし夜、戌の時ばかり、都の辰巳より火出できて、戌亥に至る。Continue reading… 方丈記002)営々の家・瞬壊の灰(安元三年の大火:1177年4月28日)

方丈記003)狂濤の風・騒乱の影(治承四年の辻風:1180年4月)

 また、治承四年卯月のころ、中御門京極のほどより、大きなる辻風起こりて、六条わたりまで吹けることはべりき。  三四町を吹きまくる間に籠れる家ども、大きなるも小さきも、ひとつとして破れざるはなし。さながら平に倒れたるもありContinue reading… 方丈記003)狂濤の風・騒乱の影(治承四年の辻風:1180年4月)

方丈記004)新都の沫・古都の果て(治承四年の都遷り:1180年6月26日~12月11日)

 また、治承四年水無月のころ、にはかに都遷り侍りき。いと思ひの外なりしことなり。おほかた、この京のはじめを聞けることは、嵯峨の天皇の御時、都と定まりにけるより後、すでに四百余歳を経たり。ことなるゆゑなくて、たやすく改まるContinue reading… 方丈記004)新都の沫・古都の果て(治承四年の都遷り:1180年6月26日~12月11日)

方丈記005)日照りの果て・人の世も末(養和大饑饉:1181~1182年)

 また、養和のころとか、久しくなりて、たしかにも覚えず。二年があひだ、世の中飢渇して、あさましきことはべりき。或は春・夏ひでり、或は秋・冬、大風・洪水など、よからぬことどもうち続きて、五穀ことごとくならず。むなしく春かへContinue reading… 方丈記005)日照りの果て・人の世も末(養和大饑饉:1181~1182年)

方丈記007)従はば苦・逆らはば狂(処世の空しさ:1212年3月末)

 すべて、世の中のありにくく、わが身と栖との、はかなく、あだなるさま、また、かくの如し。いはんや、所により、身のほどにしたがひつつ、心をなやますことは、あげてかぞふべからず。  もし、おのれが身、数ならずして、権門のかたContinue reading… 方丈記007)従はば苦・逆らはば狂(処世の空しさ:1212年3月末)

方丈記008)下賀茂~大原~日野・外山(鴨長明出家の経緯:118?~1212年)

 わが身、父方の祖母の家を伝へて、久しくかの所に住む。その後、縁かけて、身衰へ、しのぶかたがたしげかりしかど、つひに、あととむることを得ず。三十余にして、さらに、わが心と、一つの庵を結ぶ。これをありし住まひにならぶるに、Continue reading… 方丈記008)下賀茂~大原~日野・外山(鴨長明出家の経緯:118?~1212年)

方丈記009)子供の友・自然の友(山居の楽しみ:1208~1212年)

 また、麓に一つの柴の庵あり。すなはち、この山守が居る所なり。かしこに、小童あり。時々来たりて、あひ訪ふ。もし、つれづれなる時は、これを友として、遊行す。かれは十歳、これは六十。その齢、ことのほかなれど、心を慰むること、Continue reading… 方丈記009)子供の友・自然の友(山居の楽しみ:1208~1212年)

方丈記010)人々の家・ヤドカリの貝(閑居の気安さ:1208~1212年)

 おほかた、この所に住みはじめし時は、あからさまと思ひしかども、今すでに、五年を経たり。仮の庵も、やや故郷となりて、軒に朽葉深く、土居に苔むせり。おのづから、ことの便りに都を聞けば、この山に籠り居て後、やんごとなき人の隠Continue reading… 方丈記010)人々の家・ヤドカリの貝(閑居の気安さ:1208~1212年)

方丈記011)我が主にして奴・すべて自然のままに(孤独の特権:1208~1212年)

 それ、人の友とあるものは、富めるを尊み、懇なるを先とす。必ずしも、情あると、すなほなるをば愛せず。ただ、糸竹・花月を友にせんにはしかじ。人の奴たるものは、賞罰はなはだしく、恩顧あつきを先とす。さらに、はぐくみあはれむとContinue reading… 方丈記011)我が主にして奴・すべて自然のままに(孤独の特権:1208~1212年)

方丈記012)思はずはあさまし・思はば狂ほし(三界一心、六十路の妄心:1212年3月末)

 それ、三界は、ただ心ひとつなり。心、もし安からずは、象馬・七珍もよしなく、宮殿・楼閣も望みなし。今、さびしき住まひ、一間の庵、みづからこれを愛す。おのづから都に出でて、身の乞匈となれることを恥づといへども、帰りてここにContinue reading… 方丈記012)思はずはあさまし・思はば狂ほし(三界一心、六十路の妄心:1212年3月末)

徒然草015)いづくにもあれ、しばし旅だちたるこそ

 いづくにもあれ、しばし旅だちたるこそ、目さむる心地すれ。そのわたりここかしこ見ありき、ゐなかびたる所、山里などはいと目なれぬことのみぞ多かる。都へたよりもとめて文やる。「その事かの事、便宜に忘るな」などいひやるこそをかContinue reading… 徒然草015)いづくにもあれ、しばし旅だちたるこそ