和歌

伊勢物語005)関守

伊勢物語005)関守  昔、男ありけり。東の五条わたりに、いと忍びて行きけり。みそかなる所なれば、門よりもえ入らで、童べの踏みあけたるついひぢの崩れより通ひけり。人しげくもあらねど、たび重なりければ、あるじ聞きつけて、そ [...]

伊勢物語006)芥川

伊勢物語006)芥川  昔、男ありけり。女のえ得まじかりけるを、年を経て呼ばひわたりけるを、からうじて盗み出でて、いと暗きに来けり。芥川といふ川を率て行きければ、草の上に置きたりける露を、「かれは何ぞ」となむ男に問ひける [...]

伊勢物語007)かへる波

伊勢物語007)かへる波  昔、男ありけり。京にありわびて東に行きけるに、伊勢、尾張のあはひの海づらを行くに、波のいと白く立つを見て、   いとどしく過ぎゆく方の恋しきにうらやましくもかへる浪かな   となむよめりける。 [...]

伊勢物語011)空ゆく月

伊勢物語011)空ゆく月  昔、男、あづまへゆきけるに、友だちどもに、道よりいひおこせける。   忘るなよほどは雲居になりぬとも空ゆく月のめぐりあふまで   以下、アンチョコ現代語訳・・・作った人は→之人冗悟(Noto [...]

伊勢物語012)武蔵野

伊勢物語012)武蔵野  昔、男ありけり。人の娘を盗みて、武蔵野へ率て行くほどに、盗人なりければ、国の守にからめられにけり。女をば草むらの中に置きて、逃げにけり。道来る人、「この野は盗人あなり」とて、火つけなむとす。女わ [...]

伊勢物語018)なま心ある女

伊勢物語018)なま心ある女  昔、なま心ある女ありけり。男近うありけり。女、歌よむ人なりければ、心みむとて、菊の花のうつろへるを折りて、男のもとへやる。   くれなゐににほふはいづらしら雪のえだもとををに降るかとも見ゆ [...]

伊勢物語019)天雲のよそ

伊勢物語019)天雲のよそ  昔、男、宮仕へしける女の方に、御達なりける人をあひ知りたりける、ほどもなく離れにけり。同じ所なれば、女の目には見ゆるものから、男は、あるものかとも思ひたらず。女、   天雲のよそにも人のなり [...]

伊勢物語026)もろこし舟

伊勢物語026)もろこし舟  昔、男、五条わたりなりける女を、え得ずなりにけることと、わびたりける人の返りごとに、   思ほえず袖にみなとのさわぐかなもろこし船のよりしばかりに   以下、アンチョコ現代語訳・・・作った人 [...]

伊勢物語029)花の賀

伊勢物語029)花の賀  昔、春宮の女御の御方の花の賀に、召しあづけられたりけるに、   花にあかぬ嘆きはいつもせしかども今日の今宵に似る時はなし   以下、アンチョコ現代語訳・・・作った人は→之人冗悟(Noto Jau [...]

伊勢物語034)つれなかりける人

伊勢物語034)つれなかりける人  昔、男、つれなかりける人のもとに、   いへばえにいはねば胸にさわがれて心ひとつに嘆くころかな   おもなくていへるなるべし。 以下、アンチョコ現代語訳・・・作った人は→之人冗悟(No [...]

伊勢物語046)うるはしき友

伊勢物語046)うるはしき友  昔、男、いとうるはしき友ありけり。かた時さらずあひ思ひけるを、人の国へいきけるを、いとあはれと思ひて、別れけり。月日経て、おこせたる文に、「あさましく、対面せで、月日の経にけること。忘れや [...]

伊勢物語055)思ひかけたる女

伊勢物語055)思ひかけたる女  昔、男、思ひかけたる女の、え得まじうなりての世に、   思はずはありもすらめど言の葉のをりふしごとに頼まるるかな   以下、アンチョコ現代語訳・・・作った人は→之人冗悟(Noto Jau [...]

伊勢物語056)草の庵

伊勢物語056)草の庵  昔、男、臥して思ひ起きて思ひ、思ひあまりて、   わが袖は草のいほりにあらねども暮るれば露のやどりなりけり   以下、アンチョコ現代語訳・・・作った人は→之人冗悟(Noto Jaugo) of [...]

伊勢物語058)鬼のすだく

伊勢物語058)鬼のすだく  昔、心つきて色好みなる男、長岡といふ所に家つくりてをりけり。そこのとなりなりける宮ばらに、こともなき女どもの、ゐなかなりければ、田刈らむとて、この男のあるを見て、「いみじのすき者のしわざや」 [...]

伊勢物語062)いにしへのにほひ

伊勢物語062)いにしへのにほひ  昔、年ごろおとづれざりける女、心かしこくやあらざりけむ、はかなき人の言につきて、人の国なりける人に使はれて、もと見し人の前にいで来て、もの食はせなどしけり。夜さり、「このありつる人たま [...]

伊勢物語067)花の林

伊勢物語067)花の林  昔、男、逍遥しに、思ふどちかい連ねて、和泉の国へ二月ばかりに行きけり。河内の国、生駒の山を見れば、曇りみ晴れみ、立ちゐる雲やまず。朝より曇りて、昼晴れたり。雪いと白う木の末に降りたり。それを見て [...]

伊勢物語074)重なる山

伊勢物語074)重なる山  昔、男、女をいたう恨みて、   岩根ふみ重なる山にあらねどもあはぬ日おほく恋ひわたるかな   以下、アンチョコ現代語訳・・・作った人は→之人冗悟(Noto Jaugo) of http://f [...]

伊勢物語077)春の別れ

伊勢物語077)春の別れ  昔、田邑の帝と申す帝おはしましけり。その時の女御、多賀幾子と申す、みまそかりけり。それ失せ給ひて、安祥寺にてみわざしけり。人々ささげ物奉りけり。奉り集めたる物、千ささげばかりあり。そこばくのさ [...]

伊勢物語084)とみの文

伊勢物語084)とみの文  昔、男ありけり。身はいやしながら、母なむ宮なりける。その母、長崎といふ所に住み給ひけり。子は京に宮仕へしければ、まうづとしけれど、しばしばえまうでず。ひとつ子にさへありければ、いとかなしうし給 [...]

伊勢物語086)忘れぬ人

伊勢物語086)忘れぬ人  昔、いと若き男、若き女をあひいへりけり。おのおの親ありければ、つつみていひさしてやみにけり。年ごろ経て、女のもとに、なほ心ざし果たさむとや思ひけむ、男、歌をよみてやれりけり。   いままでに忘 [...]

伊勢物語091)春のかぎり

伊勢物語091)春のかぎり  昔、月日のゆくへをさへ嘆く男、三月のつごもりがたに、   惜しめども春のかぎりの今日の日の夕暮にさへなりにけるかな   以下、アンチョコ現代語訳・・・作った人は→之人冗悟(Noto Jaug [...]

伊勢物語093)あふなあふな思ひ

伊勢物語093)あふなあふな思ひ  昔、男、身はいやしくて、いとになき人を思ひかけたりけり。すこし頼みぬべきさまにやありけむ、ふして思ひ、おきて思ひ、思ひわびてよめる。   あふなあふな思ひはすべしなぞへなくたかきいやし [...]

伊勢物語095)彦星

伊勢物語095)彦星  昔、二条の后に仕うまつる男ありけり。女の仕うまつるを、つねに見かはして、よばひわたりけり。「いかでものごしに対面して、おぼつかなく思ひつめたること、すこしはるかさむ」といひければ、女、いと忍びて、 [...]

伊勢物語100)忘れ草

伊勢物語100)忘れ草  昔、男、後涼殿のはさまを渡りければ、あるやむごとなき人の御局より、忘れ草を「忍ぶ草とやいふ」とて、いださせ給へりければ、賜はりて、   忘れ草おふる野辺とは見るらめどこはしのぶなりのちも頼まむ  [...]