伊勢物語099)ひをりの日

伊勢物語099)ひをりの日
 昔、右近の馬場のひをりの日、むかひに立てたりける車に、女の顔の、下簾よりほのかに見えければ、中将なりける男のよみてやりける。
  見ずもあらず見もせぬ人の恋しくはあやなく今日やながめ暮らさむ  
返し、
  知る知らぬ何かあやなくわきていはむ思ひのみこそしるべなりけれ  
のちはたれと知りにけり。
以下、アンチョコ現代語訳・・・作った人は→之人冗悟(Noto Jaugo) of http://fusaugatari.com/
現代日本語訳

伊勢物語099)ひをりの日
 その昔、右近の馬場の引き折りの日に、向かい側に対面して停車していた車の中で、女の顔が簾の下の方からかすかに見えたので、中将だった男(在原業平)が歌を詠んで送った。
  目にしなかったわけでもなく、さりとてはっきりお逢いすることもなく、別れてしまった女性を恋しく思うあまり、今日の私は空しい恋心を抱えたままぼんやり物思いにふけって過ごすことになるのでしょうか  
これに対し、女は次のような返歌を送った。
  はっきり見知った相手だとか、誰だか見知らぬ相手とか、そんな割り切った線引きをするような無意味なもののおっしゃり方を、あなたはどうしてなさるのかしら?恋の道しるべはただひたすらに「想いの深さ」のみ、それ以外の頼りなんて、何一つないでしょうに  
こんな歌を詠んだ女であったが、その正体が誰なのか、男は、後にはっきりと知ることになるのだった。

現代語訳著作者=之人冗悟(のとじゃうご)・・・(C)2011http://fusaugatari.com/

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