宇治拾遺物語(巻十 四)117浄蔵が八坂の坊に強盗入る事

 これも今は昔、天暦のころほひ、浄蔵が八坂の坊に、強盗その数入り乱れたり。然るに火をともし、太刀を抜き、目を見張りて、おのおの立ちすくみて、さらにする事なし。かくて数刻を経。夜やうやう明けんとする時、ここに浄蔵、本尊に啓Continue reading… 宇治拾遺物語(巻十 四)117浄蔵が八坂の坊に強盗入る事

宇治拾遺物語(巻十一 三)126晴明を試みる僧の事

 昔、晴明が土御門の家に、老しらみたる老僧来たりぬ。十歳ばかりなる童部二人具したり。晴明「なにぞの人にておはするぞ」と問へば、「播磨の国の者にて候ふ。陰陽師を習はん心ざしにて候ふ。この道に、殊にすぐれておはしますよしを承Continue reading… 宇治拾遺物語(巻十一 三)126晴明を試みる僧の事

宇治拾遺物語(巻十一 三)127晴明、蛙殺す事

 この晴明、あるとき、広沢の僧正の御房に参りて、もの申し承りけるあひだ、若僧どもの晴明にいふやう、「式神を使ひ給ふなるは、たちまちに人をば殺し給ふや」と言ひければ、「やすくはえ殺さじ。力をいれて殺してん」と言ふ。「さて虫Continue reading… 宇治拾遺物語(巻十一 三)127晴明、蛙殺す事

宇治拾遺物語(巻十一 四)128河内守頼信、平忠恒を攻むる事

 昔、河内守頼信、上野守にてありしとき、坂東に平忠恒といふ兵ありき。仰せらるる事、なきがごとくにする、うたんとて、おほくの軍おこして、かれがすみかの方へ行きむかふに、岩海のはるかにさし入りたるむかひに、家をつくりてゐたりContinue reading… 宇治拾遺物語(巻十一 四)128河内守頼信、平忠恒を攻むる事

宇治拾遺物語(巻十一 八)132則光盗人を斬る事

 今は昔、駿河前司橘季通が父に、陸奥前司則光といふ人ありけり。兵の家にはあらねども、人に所置かれ、力などいみじう強かりける。世のおぼえなどありけり。  わかくて衞府の蔵人にぞありけるとき、宿直所より女のもとへ行くとて、太Continue reading… 宇治拾遺物語(巻十一 八)132則光盗人を斬る事

宇治拾遺物語(巻十一 十一)135丹後守保昌、下向の時致経の父に逢ふ事

 これも今は昔、丹後守保昌、国へ下りける時、与佐の山に、白髪の武士一騎あひたり。路の傍なる木の下に、うち入れて立ちたりけるを、国司の郎等ども、「この翁、など馬よりおりざるぞ。奇怪なり。咎めおろすべし」と言ふ。ここに国司のContinue reading… 宇治拾遺物語(巻十一 十一)135丹後守保昌、下向の時致経の父に逢ふ事

宇治拾遺物語(巻十二 十四)150東人の歌よむ事

 今は昔、東人の、歌いみじう好みよみけるが、蛍をみて   あなてるや虫のしや尻に火のつきて小人玉ともみえわたるかな   東人のやうに詠まんとて、まことは貫之が詠みたりけるとぞ。 ← 前章へ戻る  『宇治拾遺物語』  次章Continue reading… 宇治拾遺物語(巻十二 十四)150東人の歌よむ事

宇治拾遺物語(巻十二 十五)151河原の院に融公の霊住む事

 今は昔、河原の院は融の左大臣の家なり。陸奥の塩竃の形を作りて、潮を汲み寄せて、塩を焼かせなど、さまざまのをかしき事を尽くして、住み給ひける。大臣うせて後、宇多院には奉りたるなり。延喜の帝、度々行幸ありけり。まだ院、住まContinue reading… 宇治拾遺物語(巻十二 十五)151河原の院に融公の霊住む事

宇治拾遺物語(巻十二 十六)152八歳の童、孔子問答の事

 今は昔、唐に、孔子、道を行き給ふに、八つばかりなる童にあひぬ。孔子に問ひ申すやう、「日の入る所と洛陽と、いづれか遠き」と。孔子いらへ給ふやう、「日の入る所は遠し。洛陽は近し」。童の申すやう、「日の出で入る所は見ゆ。洛陽Continue reading… 宇治拾遺物語(巻十二 十六)152八歳の童、孔子問答の事

宇治拾遺物語(巻十三 五)165夢を買ふ人の事

 昔、備中国に郡司ありけり。それが子に、ひきのまき人といふありけり。若き男にてありける時、夢をみたりければ、「あはせさせん」とて、夢ときの女のもとに行きて、夢あはせて後、物語してゐたるほどに、人々あまた声して来なり。国守Continue reading… 宇治拾遺物語(巻十三 五)165夢を買ふ人の事

宇治拾遺物語(巻十三 十一)171渡天の僧穴に入る事

 今は昔、唐にありける僧の、天竺に渡りて、他事にあらず、ただ物のゆかしければ、物見にしありきければ、所々見行きけり。ある片山に、大なる穴あり。牛のありけるがこの穴に入りけるを見て、ゆかしく覚えければ、牛の行くにつきて、僧Continue reading… 宇治拾遺物語(巻十三 十一)171渡天の僧穴に入る事

宇治拾遺物語(巻十四 十)184御堂関白の御犬、晴明等奇特の事

 これも今は昔、御堂關白殿、法成寺を建立し給ひて後は、日ごとに御堂へ参らせ給ひけるに、白き犬を愛してなん飼はせ給ひければ、いつも御身をはなれず御供しけり。ある日例のごとく御供しけるが、門を入らんとし給へば、この犬、御さきContinue reading… 宇治拾遺物語(巻十四 十)184御堂関白の御犬、晴明等奇特の事

宇治拾遺物語(巻十五 一)186清見原天皇、大友皇子と合戦の事

 今は昔、天智天皇の御子に、大友皇子といふ人ありけり。太政大臣になりて、世の政を行ひてなんありける。心の中に、「帝失ひ給ひなば、次の帝には、我ならん」と思ひ給ひけり。清見原天皇、その時は春宮にておはしましけるが、この気色Continue reading… 宇治拾遺物語(巻十五 一)186清見原天皇、大友皇子と合戦の事