宇治拾遺物語(巻十三 四)164亀を買ひて放つ事

 昔、天竺の人、宝を買はんために、銭五十貫を子に持たせてやる。大きなる川のはたをゆくに、舟に乗りたる人あり。舟のかたを見やれば、舟より亀、首をさしいだしたり。銭もちたる人、たちどまりて、この亀をば、「何の料ぞ」と問へば、Continue reading… 宇治拾遺物語(巻十三 四)164亀を買ひて放つ事

宇治拾遺物語(巻十三 六)166大井光遠の妹強力の事

 昔、甲斐国の相撲、大井光遠は、ひき太にいかめしく、力強く、足速く、みめ、ことがらより始めて、いみじかりし相撲なり。それが妹に、年二十六七ばかりなる女の、みめ、ことがら、けはひもよく、姿も細やかなるありけり。それは退きたContinue reading… 宇治拾遺物語(巻十三 六)166大井光遠の妹強力の事

宇治拾遺物語(巻十三 七)167ある唐人、女の羊に生りたる知らずして殺す事

 今は昔、唐土に、何とかやいふ司になりて、下らんとする者侍りき。名をば、慶植と言ふ。それがむすめ一人ありけり。ならびなくをかしげなりし、十余歳にして失せにけり。父母、泣かなしむことかぎりなし。  さて二年ばかりありて、田Continue reading… 宇治拾遺物語(巻十三 七)167ある唐人、女の羊に生りたる知らずして殺す事

宇治拾遺物語(巻十三 八)168出雲寺別当、父鯰になりたるを知りながら殺して食ふ事

 今は昔、王城の北、上つ出雲寺といふ寺、たててより後、年久しくなりて、御堂も傾きて、はかばかしう修理する人もなし。この近う、別当侍りき。その名をば、上覚となん言ひける。これぞ前の別当の子に侍りける。あひつぎつつ、妻子もたContinue reading… 宇治拾遺物語(巻十三 八)168出雲寺別当、父鯰になりたるを知りながら殺して食ふ事

宇治拾遺物語(巻十三 十)170慈覚大師、纐纈城に入り給ふ事

 昔、慈覚大師、仏法を習ひ伝へんとて、唐土へ渡り給ひておはしけるほどに、会昌年中に、唐の武宗、仏法をほろぼして、堂塔をこぼち、僧尼をとらへて失ひ、あるいは還俗せしめ給ふ乱に合ひ給へり。大師をもとらへんとしけるほどに、逃げContinue reading… 宇治拾遺物語(巻十三 十)170慈覚大師、纐纈城に入り給ふ事

宇治拾遺物語(巻十三 十一)171渡天の僧穴に入る事

 今は昔、唐にありける僧の、天竺に渡りて、他事にあらず、ただ物のゆかしければ、物見にしありきければ、所々見行きけり。ある片山に、大なる穴あり。牛のありけるがこの穴に入りけるを見て、ゆかしく覚えければ、牛の行くにつきて、僧Continue reading… 宇治拾遺物語(巻十三 十一)171渡天の僧穴に入る事

宇治拾遺物語(巻十四 三)177経頼、蛇に逢ふ事

 昔、経頼といひける相撲の家のかたはらに、ふる河のありけるが、ふかき淵なる所ありけるに、夏、その川ちかく、木陰のありければ、かたびらばかり着て、中ゆひて、あしだはきて、またふり杖といふものつきて、小童ひとり供に具して、とContinue reading… 宇治拾遺物語(巻十四 三)177経頼、蛇に逢ふ事

宇治拾遺物語(巻十四 十)184御堂関白の御犬、晴明等奇特の事

 これも今は昔、御堂關白殿、法成寺を建立し給ひて後は、日ごとに御堂へ参らせ給ひけるに、白き犬を愛してなん飼はせ給ひければ、いつも御身をはなれず御供しけり。ある日例のごとく御供しけるが、門を入らんとし給へば、この犬、御さきContinue reading… 宇治拾遺物語(巻十四 十)184御堂関白の御犬、晴明等奇特の事

宇治拾遺物語(巻十四 十一)185高階俊平が弟の入道算術の事

 これも今は昔、丹後前司高階俊平といふ者ありける。のちには、法師になりて、丹後入道とてぞありける。それが弟にて、司もなくてあるものありけり。それが、主のともにくだりて、筑紫にありけるほどに、あたらしく渡りたりける唐人の、Continue reading… 宇治拾遺物語(巻十四 十一)185高階俊平が弟の入道算術の事

宇治拾遺物語(巻十五 九)194仁戒上人往生の事

 これも今は昔、南京に仁戒上人といふ人ありけり。山階寺の僧なり。才学、寺中に並ぶ輩なし。しかるに、にはかに道心をおこして、寺を出でんとしけるに、その時の別当興正僧都、いみじう惜しみて、制しとどめて、出だし給はず。しわびてContinue reading… 宇治拾遺物語(巻十五 九)194仁戒上人往生の事