宇治拾遺物語(巻一 三)003鬼に瘤取らるる事

 これも今は昔、右の顔に大きなる瘤ある翁ありけり。大柑子の程なり。人に交じるに及ばねば、薪をとりて世を過ぐるほどに、山へ行きぬ。雨風はしたなくて、帰るにことよわりて、山の中に心にもあらず泊まりぬ。また木こりもなかりけり。Continue reading… 宇治拾遺物語(巻一 三)003鬼に瘤取らるる事

宇治拾遺物語(巻一 八)008易の占ひして金取り出す事

 旅人の宿求めけるに、大きやかなる家の、あばれたるがありけるに、よりて、「ここに宿し給ひてんや」と言へば、女声にて「よき事、宿り給へ」と言へば、皆おりゐにけり。屋、大きなれども、人のありげもなし。ただ女一人ぞあるけはひしContinue reading… 宇治拾遺物語(巻一 八)008易の占ひして金取り出す事

宇治拾遺物語(巻二 六)024厚行死人を家より出す事

 昔、右近将監下野厚行といふ者ありけり。競馬によく乗りけり。帝王より始めまゐらせて、おぼえ殊にすぐれたり。朱雀院の御時より村上帝の御時などは、盛りにいみじき舎人にて、人も許し思ひけり。年高くなりて西京に住みけり。  隣なContinue reading… 宇治拾遺物語(巻二 六)024厚行死人を家より出す事

宇治拾遺物語(巻二 十一)029明衡殃に合はんと欲する事

 昔、博士にて、大学頭明衡といふ人ありき。若かりける時、さるべき所に宮仕へける女房を語らひて、その所に入り臥さんこと、便なかりければ、そのかたはらにありける下種の家を借りて、「女房語らひ出して、臥さん」と言ひければ、男あContinue reading… 宇治拾遺物語(巻二 十一)029明衡殃に合はんと欲する事

宇治拾遺物語(巻二 十二)030唐卒都婆に血付く事

 昔、唐土に大なる山ありけり。その山のいただきに、大きなる卒都婆一つ立てりけり。その山のふもとの里に、年八十ばかりなる女の住みけるが、日に一度、その山の峰にある卒都婆をかならず見けり。たかく大きなる山なれば、ふもとより峰Continue reading… 宇治拾遺物語(巻二 十二)030唐卒都婆に血付く事

宇治拾遺物語(巻三 六)038絵仏師良秀家の焼を見て悦ぶ事

 これも今は昔、絵仏師良秀といふありけり。家の隣より火出で来て、風おし掩ひて責めければ、逃げ出でて大路へ出でにけり。人の書かする仏もおはしけり。また衣着ぬ妻子なども、さながら内にありけり。それも知らず、ただ逃げ出でたるをContinue reading… 宇治拾遺物語(巻三 六)038絵仏師良秀家の焼を見て悦ぶ事

宇治拾遺物語(巻三 二十)052狐、家に火つくる事

 今は昔、甲斐国に館の侍なりける者の、夕暮れに館を出でて家ざまに行きけるに、道に、狐のあひたりけるを追ひかけて引目して射ければ、狐の腰に射当ててけり。狐、射まろばかされて、鳴きわびて、腰をひきつつ草に入りにけり。この男、Continue reading… 宇治拾遺物語(巻三 二十)052狐、家に火つくる事

宇治拾遺物語(巻五 九)078御室戸僧正の事一乗寺僧正の事

 これも今は昔、一乗寺僧正、御室戸僧正とて、三井の門流に、やんごとなき人おはしけり。御室戸の僧正は、隆家師の第四の子なり。一乗寺僧正は、経輔大納言の弟五の子なり。御室戸をば隆明といひ。一乗寺をば増誉と言ふ。この二人、おのContinue reading… 宇治拾遺物語(巻五 九)078御室戸僧正の事一乗寺僧正の事

宇治拾遺物語(巻六 九)091僧伽多羅刹国に行く事

 昔、天竺に僧伽多といふ人あり。五百人の商人を舟に乗せて、かねの津へ行くに、にはかに悪しき風吹きて、舟を南の方へ吹きもて行く事、矢を射るがごとし。知らぬ世界に吹き寄せられて、陸に寄りたるを、かしこき事にして、左右なくみなContinue reading… 宇治拾遺物語(巻六 九)091僧伽多羅刹国に行く事

宇治拾遺物語(巻十二 二一)157或る上達部、中将の時召人に逢ふ事

 今は昔、上達部のまだ中将と申しける、内へ参り給ふ道に、法師をとらへて率て行きけるを、「こはなに法師ぞ」と問はせければ、「年ごろ使はれて候ふ主を殺して候ふ者なり」といひければ、「まことに罪重きわざしたるものにこそ。心うきContinue reading… 宇治拾遺物語(巻十二 二一)157或る上達部、中将の時召人に逢ふ事

宇治拾遺物語(巻十三 五)165夢を買ふ人の事

 昔、備中国に郡司ありけり。それが子に、ひきのまき人といふありけり。若き男にてありける時、夢をみたりければ、「あはせさせん」とて、夢ときの女のもとに行きて、夢あはせて後、物語してゐたるほどに、人々あまた声して来なり。国守Continue reading… 宇治拾遺物語(巻十三 五)165夢を買ふ人の事

宇治拾遺物語(巻十三 十三)173清瀧川の聖の事

 今は昔、清瀧川の奥に、柴の庵つくりて行ふ僧ありけり。水ほしき時は、水瓶を飛ばして、くみにやりて飲みけり。年経にければ、かばかりの行者はあらじと、時々慢心おこりけり。  かかりけるほどに、我がゐたる上ざまより、水瓶来て、Continue reading… 宇治拾遺物語(巻十三 十三)173清瀧川の聖の事

宇治拾遺物語(巻十五 十一)196後の千金の事

 今は昔、唐に荘子といふ人ありけり。家いみじう貧しくて、今日の食物絶えぬ。隣に監河侯といふ人ありけり。それがもとへ、今日食ふべき料の粟を乞ふ。  河侯がいはく、「今五日ありておはせよ。千両の金を得んとす。それを奉らん。いContinue reading… 宇治拾遺物語(巻十五 十一)196後の千金の事