宇治拾遺物語(巻四 二)054左渡国に金ある事
能登国には、鉄といふ物の、素鉄といふ程なるを取りて、守に取らする者、六十人ぞあなる。実房といふ守の任に、鉄取六十人が長なりける者の、「佐渡国にこそ、金の花咲きたる所はありしか」と人にいひけるを、守伝へ聞きて、その男を守 [...]
宇治拾遺物語(巻四 五)057石橋の下の蛇の事
この近くの事なるべし。女ありけり。 雲林院の菩提講に、大宮をのぼりに参りけるほどに、西院の辺近くなりて、石橋ありけり。水のほとりを、二十あまり、三十ばかりの女、中ゆひて歩みゆくが、石橋をふみ返して過ぎぬるあとに、ふみ [...]
宇治拾遺物語(巻七 五)096長谷寺参籠の男、利生に預かる事
今は昔、父母も主もなく、妻も子もなくて、ただ一人ある青侍ありけり。すべき方もなかりければ、「観音助け給へ」とて長谷に参りて、御前にうつぶし伏して申しけるやう、「この世にかくてあるべくは、やがて、この御前にて干死にに死な [...]
宇治拾遺物語(巻十四 六)180玉の価はかりなき事
これも今は昔、筑紫に丈夫さだしげと申す者ありけり。この頃ある箱崎の丈夫のりしげが祖父なり。そのさだしげ京上りしけるに、故宇治殿に参らせ、またわたくしの知りたる人々にも心ざさんとて、唐人に物を六七千疋が程借るとて、太刀を [...]
声