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釈教

宇治拾遺物語(巻一 一)001道命阿闍梨和泉式部の許において読経し五条の道祖神聴聞の事

By のとじゃうご on 2009/05/20

 今は昔、道命阿闍梨とて、傅殿の子に色に耽りたる僧ありけり。和泉式部に通ひけり。経をめでたく読みけり。それが和泉式部がり行きて臥したりけるに、目覚めて経を心すまして読みけるほどに、八巻読み果てて、暁にまどろまんとするほど [...]

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宇治拾遺物語(巻一 二)002丹波国篠村平茸生ふる事

By のとじゃうご on 2009/05/20

 これも今は昔、丹波国篠村といふ所に、年ごろ、平茸やる方もなく多かりけり。里村の者これを取りて、人にも心ざし、また我も食ひなどして年ごろ過ぐるほどに、その里にとりてむねとある者の夢に、頭をつかみなる法師どもの二三十人ばか [...]

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宇治拾遺物語(巻一 七)007龍門の聖鹿にかはらんと欲する事

By のとじゃうご on 2009/05/20

 大和国に龍門といふ所に聖ありけり。住みける所を名にて龍門の聖とぞ言ひける。その聖の親しく知りたりける男の、明け暮れ鹿を殺しけるに、照射といふ事をしけるころ、いみじう暗かりける夜、照射に出でにけり。  鹿を求め歩くほどに [...]

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宇治拾遺物語(巻一 十六)016尼地蔵見奉る事

By のとじゃうご on 2009/05/19

 今は昔、丹後国に老尼ありけり。地蔵菩薩は暁ごとに歩き給ふといふ事をほのかに聞きて、暁ごとに地蔵見奉らんとて、ひと世界を惑ひ歩くに、博打の打ちほうけてゐたるが見て、「尼君は、寒きに何わざし給ふぞ」と言へば、「地蔵菩薩の暁 [...]

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宇治拾遺物語(巻三 四)036山伏舟祈り返す事

By のとじゃうご on 2009/05/17

 これも今は昔、越前国甲楽城の渡りといふ所に渡りせんとて、者ども集まりたるに、山ぶしあり。けいたう坊といふ僧なりけり。熊野、御嶽はいふに及ばず、白山、伯耆の大山、出雲の鰐淵、おほかた修行し残したる所なかりけり。  それに [...]

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宇治拾遺物語(巻三 十二)044多田新発意郎等の事

By のとじゃうご on 2009/05/16

 これも今は昔、多田満仲のもとに猛く悪しき朗等ありけり。物の命を殺すをもて業とす。野に出で、山に入りて鹿を狩り鳥を取りて、いささかの善根する事なし。  ある時出でて狩をする間、馬を馳せて鹿追ふ。矢をはげ、弓を引きて、鹿に [...]

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宇治拾遺物語(巻三 十三)045因幡国別当地蔵造りさす事

By のとじゃうご on 2009/05/16

 これも今は昔、因幡国高草の郡、さかの里に伽藍あり。国隆寺と名づく。この国の前の国司ちかなが造れるなり。そこに年老いたる者語り伝へていはく、この寺の別当ありき。家に仏師を呼びて地蔵を造らするほどに、別当の妻、異男に語らは [...]

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宇治拾遺物語(巻三 十四)046伏見修理大夫俊綱の事

By のとじゃうご on 2009/05/16

 これも今は昔、伏見修理大夫は宇治殿の御子にておはす。あまり公達多くおはしければ、やうを変へて橘俊遠といふ人の子になし申して、蔵人になして、十五にて尾張守になし給ひてけり。それに尾張に下りて国行ひけるに、そのころ、熱田の [...]

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宇治拾遺物語(巻四 三)055薬師寺の別当の事

By のとじゃうご on 2009/05/15

 今は昔、薬師寺の別当僧都といふ人ありけり。別当はしけれども、ことに寺の物もつかはで、極楽に生まれんことをなん願ひける。  年老い、病して、死ぬるきざみになりて、念仏して消え入らんとす。無下にかぎりと見ゆるほどに、よろし [...]

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宇治拾遺物語(巻四 七)059三河入道遁世の間の事

By のとじゃうご on 2009/05/15

 三河入道、いまだ俗にてありける折、もとの妻をば去りつつ、わかくかたちよき女に思ひつきて、それを妻にて、三河へ率てくだりけるほどに、その女、久しくわづらひて、よかりけるかたちもおとろへて、失せにけるを、悲しさのあまりに、 [...]

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宇治拾遺物語(巻四 十二)064式部大輔実重賀茂の御体拝見の事

By のとじゃうご on 2009/05/14

 これも今は昔、式部大輔実重は賀茂へ参る事ならびなき者なり。前生の運おろそかにして、身に過ぎたる利生にあづからず。人の夢に、大明神、「また実重来たり、実重来たり」とて、嘆かせおはしますよし見けり。実重、御本地を見奉るべき [...]

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宇治拾遺物語(巻五 一)070四宮河原地蔵の事

By のとじゃうご on 2009/05/14

 これも今は昔、山ばかりの道づらに、四宮河原といふ所にて、袖くらべといふ商人あつまる所あり。その辺に下種のありける、地蔵菩薩を一体造り奉りたりけるを、開眼もせで、櫃にうち入て、奥の部屋などおぼしき所におさめ置きて、世の営 [...]

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宇治拾遺物語(巻五 四)073範久阿闍梨西方を後にせざる事

By のとじゃうご on 2009/05/13

 これも今は昔、範久阿闍梨といふ僧ありけり。山の楞厳院に住みけり。ひとへに極楽を願ふ。行住座臥、西方を後にせず。唾をはき、大小便西に向かはず。入日を背中に負はず。西坂より山へ登る時は、身をそばだてて歩む。常にいはく、「植 [...]

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宇治拾遺物語(巻五 十三)082山の横川の賀能地蔵の事

By のとじゃうご on 2009/05/12

 これも今は昔、山の横川に、賀能知院といふ僧、破戒無慚の者にて、昼夜に仏の物をとり遣ふことをのみしけり。横川の執行にてありけり。政所へ行くとて、塔のもとを常に過ぎありきければ、塔のもとに、古き地蔵の、物の中に捨て置きたる [...]

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宇治拾遺物語(巻六 一)083広貴、妻の訴へにより閻魔王宮へ召さるる事

By のとじゃうご on 2009/05/12

 これも今は昔、藤原広貴といふ者ありけり。死して閻魔の庁に召されて、王の御前とおぼしき所に参りたるに、王宣ふやう、「汝が子をはらみて、産をしそこなひたる女、死にたり。地獄に堕ちて苦を受くるに、うれへ申すことのあるによりて [...]

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宇治拾遺物語(巻六 三)085留志長者の事

By のとじゃうご on 2009/05/12

 今は昔、天竺に、留志長者とて、世にたのもしき長者ありける。おほかた蔵もいくらともなく持ち、たのしきが、心の口惜しくて、妻子にも、まして従者にも、物食はせ、着することなし。おのれ、物のほしければ、人にも見せず、隠して食ふ [...]

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宇治拾遺物語(巻六 四)086清水寺に二千度参詣する者双六に打ち入るる事

By のとじゃうご on 2009/05/12

 今は昔、人のもとに宮づかへしてある生侍ありけり。する事のなきままに、清水へ、人まねして、千度詣を二たびしたりけり。  その後、いくばくもなくして、主のもとにありける同じ様なる侍と双六をうちけるが、多く負けて、渡すべき物 [...]

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宇治拾遺物語(巻六 五)087観音経蛇に化し人を輔け給ふ事

By のとじゃうご on 2009/05/12

 今は昔、鷹を役にて過ぐる者ありけり。鷹の放れたるをとらんとて、飛ぶにしたがひて行きけるほどに、はるかなる山の奥の谷の片岸に、高き木のあるに、鷹の巣くひたるを見付けて、いみじき事見置きたると、うれしく思ひて、帰りてのち、 [...]

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宇治拾遺物語(巻六 六)088賀茂社より御幣紙米等給ふ事

By のとじゃうご on 2009/05/12

 今は昔、比叡山に僧ありけり。いと貧しかりけるが、鞍馬に七日参りけり。「夢などや見ゆる」とて参りけれど、見えざりければ、今七日とて参れども、なほ見えねば、七日を延べ延べして、百日といふ夜の夢に、「我はえ知らず。清水へ参れ [...]

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宇治拾遺物語(巻六 七)089信濃国筑摩湯に観音沐浴の事

By のとじゃうご on 2009/05/12

 今は昔、信濃国に、筑摩の湯といふ所に、よろづの人のあみける薬湯あり。そのわたりなる人の、夢にみるやう、「あすの午の時に、観音、湯あみ給ふべし」と言ふ。「いかやうにてかおはしまさむずる」と問ふに、いらふるやう、「年三十ば [...]

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宇治拾遺物語(巻六 八)090帽子の叟孔子と問答の事

By のとじゃうご on 2009/05/12

 今は昔、唐土に孔子、林の中の岡だちたるやうなる所にて、逍遙し給ふ。われは琴をひき、弟子どもは、ふみを読む。ここには、舟に乗たる叟の帽子したるが、船を葦につなぎて、陸にのぼり、杖をつきて、琴のしらべの終るを聞く。人々、あ [...]

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宇治拾遺物語(巻六 九)091僧伽多羅刹国に行く事

By のとじゃうご on 2009/05/11

 昔、天竺に僧伽多といふ人あり。五百人の商人を舟に乗せて、かねの津へ行くに、にはかに悪しき風吹きて、舟を南の方へ吹きもて行く事、矢を射るがごとし。知らぬ世界に吹き寄せられて、陸に寄りたるを、かしこき事にして、左右なくみな [...]

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宇治拾遺物語(巻七 五)096長谷寺参籠の男、利生に預かる事

By のとじゃうご on 2009/05/11

 今は昔、父母も主もなく、妻も子もなくて、ただ一人ある青侍ありけり。すべき方もなかりければ、「観音助け給へ」とて長谷に参りて、御前にうつぶし伏して申しけるやう、「この世にかくてあるべくは、やがて、この御前にて干死にに死な [...]

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宇治拾遺物語(巻八 四)102敏行の朝臣の事

By のとじゃうご on 2009/05/10

 これも今は昔、敏行という歌よみは、手をよく書きければ、これかれがいふに従ひて、法華経を二百部ばかり書き奉りたりけり。かかるほどに、にはかに死ににけり。我は死ぬるぞとも思はぬに、にはかにからめて引き張りて率て行けば、我ば [...]

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宇治拾遺物語(巻八 五)103東大寺華厳会の事

By のとじゃうご on 2009/05/10

 これも今は昔、東大寺に恒例の大法会あり。華厳会とぞいふ。大仏殿の内に高座を立てて、講師上りて、堂の後よりかい消つやうにして、逃げて出でつるなり。古老の伝へていはく、「御寺建立のはじめ、鯖を売る翁来たる。ここに本願の上皇 [...]

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宇治拾遺物語(巻八 七)105千手院僧正、仙人に逢ふ事

By のとじゃうご on 2009/05/10

 昔、山の西塔千手院に住み給ひける静観僧正と申しける座主、夜更けて、尊勝陀羅尼を、夜もすがらみて明かして、年ごろになり給ひぬ。きく人もいみじく貴みけり。陽勝仙人と申す仙人、空を飛びて、この坊の上を過ぎけるが、この陀羅尼の [...]

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宇治拾遺物語(巻九 三)108越前敦賀の女、観音助け給ふ事

By のとじゃうご on 2009/05/10

 越前国に敦賀といふ所にすみける人ありけり。とかくして、身ひとつばかり、わびしからで過ぐしけり。女一人よりほかに、また子もなかりければ、このむすめぞ、またなきものにかなしくしける。「この女を、我があらん折、たのもしく見置 [...]

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宇治拾遺物語(巻九 七)112大安寺別当女に嫁する男、夢見る事

By のとじゃうご on 2009/05/09

 今は昔、奈良の大安寺の別当なりける僧の女のもとに、蔵人なりける人、忍びて通ふほどに、せめて思はしかりければ、時々は、昼もとまりけり。ある時、昼寝したりける夢に、にはかに、この家の内に、上下の人、とよみて泣きあひけるを、 [...]

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宇治拾遺物語(巻十 十)123海賊発心出家の事

By のとじゃうご on 2009/05/08

 今は昔、摂津国にいみじく老いたる入道の、行ひうちしてありけるが、人の「海賊にあひたり」といふ物語するついでにいふやう、「我は、若かりし折は、まことにたのもしくてありし身なり。着るもの、食物に飽きみちて、明暮海にうかびて [...]

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宇治拾遺物語(巻十一 七)131清水寺御帳給はる女の事

By のとじゃうご on 2009/05/07

 今は昔、たよりなかける女の、清水にあながちに参るありけり。年月つもりけれども、露ばかり、そのしるしと覚えたることなく、いとどたよりなくなりまさりて、果ては、年ごろありける所をも、その事となくあくがれて、よりつくところも [...]

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宇治拾遺物語(巻十一 十)134日蔵上人吉野山にて鬼にあふ事

By のとじゃうご on 2009/05/07

 昔、吉野山の日蔵の君、吉野の奥におこなひありき給ひけるに、たけ七尺ばかりの鬼、身の色は紺青の色にて、髪は火のごとくに赤く、くび細く、むね骨は、ことにさしいでて、いらめき、腹ふくれて、脛は細くありけるが、このおこなひ人に [...]

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宇治拾遺物語(巻十一 十二)136出家功徳の事

By のとじゃうご on 2009/05/07

 これも今は昔、筑紫に、たうさかのさへと申す齋の神まします。そのほこらに、修行しける僧のやどりてねたりける夜、夜中ばかりになりぬらんと思ふほどに、馬の足音あまたして、人の過ぐると聞くほどに、「齋はましますか」と問ふ声す。 [...]

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宇治拾遺物語(巻十二 一)137達磨天竺僧の行ひ見る事

By のとじゃうご on 2009/05/07

 昔、天竺に一寺あり。住僧もつともおほし。達磨和尚、この寺に入りて、僧どもの行をうかがひ見給ふに、ある坊には念仏し、経をよみ、さまざまに行ふ。ある坊を見給ふに、八九十ばかりなる老僧の、只二人ゐて囲碁を打つ。仏もなく、経も [...]

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宇治拾遺物語(巻十二 二)138提婆菩薩、龍樹菩薩の許に参る事

By のとじゃうご on 2009/05/07

 昔、西天竺に龍樹菩薩と申す上人まします。智恵甚深なり。また、中天竺に提婆菩薩と申す上人、龍樹の智恵深きよしを聞き給ひて、西天竺に行き向ひて、門外にたちて、案内を申さんとし給ふ所に、御弟子、ほかより来給ひて、「いかなる人 [...]

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宇治拾遺物語(巻十二 三)139慈恵僧正受戒の日延引の事

By のとじゃうご on 2009/05/07

 慈恵僧正良源、座主の時、受戒行ふべき定日、例のごとく催し設けて、座主の出仕を相待つの所に、途中よりにはかに帰り給へば、供の者ども、こはいかにと、心得難く思ひけり。衆徒、諸職人も、「これ程の大事、日の定まりたる事を、今と [...]

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宇治拾遺物語(巻十二 四)140内記上人、法師陰陽師の紙冠を破る事

By のとじゃうご on 2009/05/07

 内記上人寂心といふ人ありけり。道心堅固の人なり。「堂を造り、塔を立つる、最上の善根なり」とて、勘進せられけり。材木をば、播磨国に行きて取られけり。ここに法師陰陽師、紙冠を着て、祓するを見つけて、あわてて馬よりおりて、馳 [...]

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宇治拾遺物語(巻十二 五)141持経者叡實効験の事

By のとじゃうご on 2009/05/06

 昔、閑院大臣殿、三位中将におはしける時、わらは病み重くわづらひ給ひけるが、「神名といふ所に、叡實といふ持経者なん、童やみはよく祈りおとし給ふ」と申す人ありければ、「この持経者にいのらせん」とて行き給ふに、荒見川の程にて [...]

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宇治拾遺物語(巻十二 六)142空也上人の臂観音院僧正祈り直す事

By のとじゃうご on 2009/05/06

 昔、空也上人、申すべき事ありて、一条大臣殿に参りて、蔵人所に上りて居たり。余慶僧正また参会し給ふ。物語などし給ふほどに、僧正の宣ふ、「その臂は、いかにして折り給へるぞ」と。上人のいはく、「我が母、物妬みして、幼少の時、 [...]

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宇治拾遺物語(巻十二 七)143増賀上人三条の宮に参り振舞の事

By のとじゃうご on 2009/05/06

 昔、多武嶺に、増賀上人とて貴き聖おはしけり。きはめて心たけう、きびしくおはしけり。ひとへに名利を厭ひて、頗る物狂はしくなん、わざと振舞ひ給ひける。  三条大后の宮、尼にならせ給はんとて、戒師のために、召しに遣はされけれ [...]

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宇治拾遺物語(巻十二 八)144聖宝僧正、一条大路渡る事

By のとじゃうご on 2009/05/06

 昔、東大寺に上座法師のいみじく楽しきありけり。露ばかりも、人に物与ふる事をせず、慳貪に罪深く見えければ、その時聖宝僧正の、若き僧にておはしけるが、この上座の、物惜しむ罪のあさましきにとて、わざとあらがひをせられけり。「 [...]

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宇治拾遺物語(巻十二 十二)148高忠侍歌よむ事

By のとじゃうご on 2009/05/06

 今は昔、高忠といひける越前守の時に、いみじく不幸なりける侍の、夜昼まめなるが、冬なれど、帷をなん着たりける。雪のいみじく降る日、この侍、きよめすとて、物のつきたるやうに震ふを見て、守、「歌詠め、をかしう降る雪かな」と申 [...]

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宇治拾遺物語(巻十二 十八)154貧しき俗、仏性を観じて富める事

By のとじゃうご on 2009/05/05

 今は昔、唐土の辺州に一人の男あり。家貧しくして、宝なし。妻子を養ふに力なし。もとむれども、得ることなし。かくて歳月を経。思ひわびて、僧にあひて、宝を得べき事を問ふ。智恵ある僧にて、こたふるやう、「汝、寶を得んと思はば、 [...]

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宇治拾遺物語(巻十三 十)170慈覚大師、纐纈城に入り給ふ事

By のとじゃうご on 2009/05/04

 昔、慈覚大師、仏法を習ひ伝へんとて、唐土へ渡り給ひておはしけるほどに、会昌年中に、唐の武宗、仏法をほろぼして、堂塔をこぼち、僧尼をとらへて失ひ、あるいは還俗せしめ給ふ乱に合ひ給へり。大師をもとらへんとしけるほどに、逃げ [...]

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宇治拾遺物語(巻十三 十二)172寂昭上人鉢を飛す事

By のとじゃうご on 2009/05/03

 今は昔、三河入道寂昭といふ人、唐に渡りて後、唐の王、やんごとなき聖どもを召し集めて、堂を飾りて、僧膳を設けて、経を講じ給ひけるに、王宣はく、「今日の斎莚は、手長の役あるべからず。おのおの我が鉢を飛ばせやりて、物は受くべ [...]

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宇治拾遺物語(巻十三 十四)174優婆崛多の弟子の事

By のとじゃうご on 2009/05/03

 今は昔、天竺に、仏の御弟子優婆崛多といふ聖おはしき。如来滅後百年ばかりありて、その聖に弟子ありき。いかなる心ばへをか見給ひたりけん、「女人に近づくことなかれ。女人に近づけば、生死にめぐること車輪のごとし」と、つねにいさ [...]

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宇治拾遺物語(巻十四 一)175海雲比丘の弟子童の事

By のとじゃうご on 2009/05/03

 今は昔、海雲比丘、道を行き給ふに、十余歳ばかりなる童子、道にあひぬ。比丘、童に問ひていふ、「何の料の童ぞ」と宣ふ。童答へていふ、「ただ道まかる者にて候ふ」と言ふ。比丘いふ、「汝は法華経はよみたりや」ととへば、童いふ、「 [...]

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宇治拾遺物語(巻十四 二)176寛朝僧正、勇力の事

By のとじゃうご on 2009/05/03

 今は昔、遍照寺僧正寛朝といふ人、仁和寺をもしりければ、仁和寺のやぶれたるところ修理せさすとて、番匠どもあまたつどひて作りけり。日暮れて、番匠ども、おのおの出でてのちに、「けふの造作はいかほどしたるぞ」とみんと思ひて、僧 [...]

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宇治拾遺物語(巻十四 五)179新羅国の后金の榻の事

By のとじゃうご on 2009/05/03

 これも今は昔、新羅国に后おはしけり。その后、忍びて密男を設けてけり。帝この由を聞き給ひて、后を捕へて、髪に繩をつけて、上へつりつけて、足を二三尺引き上げて置きたりければ、すべきやうもなくて、心のうちに思ひ給ひけるやう、 [...]

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宇治拾遺物語(巻十五 六)191極楽寺僧仁王経の験を施す事

By のとじゃうご on 2009/05/01

 これも今は昔、堀川太政大臣と申す人、世心地大事にわづらひ給ふ。御祈りどもさまざまにせらる。世にある僧どもの参らぬはなし。参り集ひて御祈どもをす。殿中騒ぐ事限りなし。ここに極楽寺は、殿の造り給へる寺なり。その寺に住みける [...]

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宇治拾遺物語(巻十五 七)192伊良縁野世恒、毘沙門の御下文を給はる事

By のとじゃうご on 2009/05/01

 今は昔、越前国に、伊良縁の世恒といふ者ありけり。とりわきてつかうまつる毘沙門に、物も食はで、物のほしかりければ、「助け給へ」と申しけるほどに、「門にいとをかしげなる女の、家主に物いはんと宣ふ」と言ひければ、誰にかあらん [...]

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宇治拾遺物語(巻十五 八)193相応和尚、都卒天に上ぼる事 附・染殿の后祈り奉る事

By のとじゃうご on 2009/05/01

 今は昔、叡山無動寺に、相応和尚といふ人おはしけり。比良山の西に、葛川の三瀧といふ所にも、通ひて行ひ給ひけり。その瀧にて、不動尊の申し給はく、「我を負ひて、都卒の内院、弥勒菩薩の御許に率て行き給へ」と、あながちに申しけれ [...]

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宇治拾遺物語(巻十五 九)194仁戒上人往生の事

By のとじゃうご on 2009/05/01

 これも今は昔、南京に仁戒上人といふ人ありけり。山階寺の僧なり。才学、寺中に並ぶ輩なし。しかるに、にはかに道心をおこして、寺を出でんとしけるに、その時の別当興正僧都、いみじう惜しみて、制しとどめて、出だし給はず。しわびて [...]

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宇治拾遺物語(巻十五 十)195秦始皇天竺より来たる僧禁獄の事

By のとじゃうご on 2009/05/01

 今は昔、唐の秦始皇の代に、天竺より僧渡れり。帝あやしみ給ひて、「これはいかなる者ぞ。何事によりて来たれるぞ」。僧申していはく、「釈迦牟尼仏の御弟子なり。仏法を伝へんために、遙かに西天より来たり渡れるなり」と申しければ、 [...]

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宇治拾遺物語(巻十五 十二)197盗跖と孔子と問答の事

By のとじゃうご on 2009/05/01

 これも今は昔、唐土に、柳下恵といふ人ありき。世の賢き者にして、人に重くせらる。その弟に、盗跖と言ふものあり。一つの山ふところに住みて、もろもろの悪しき者を招き集めて、おのが伴侶として、人の物をば我が物とす。ありくときは [...]

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