土佐日記01/01

 元日。なほおなじ泊りなり。白散をあるもの、夜の間とて、舟屋形にさしはさめりければ、風に吹きならさせて、海に入れて、え飲まずなりぬ。芋茎、荒布も歯固めもなし。かうやうのものなき国なり。求めしもおかず。ただ押鮎の口をのみぞ吸ふ。この吸ふ人人の口を、押鮎もし思ふやうあらむや。「今日は都のみぞ思ひやらるる。小家の門のしりくべなはの鯔の頭、柊らいかにぞ」とぞいひあへる。
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