土佐日記01/13

 十三日の暁に、いささかに雨降る。しばしありてやみぬ。女これかれ、ゆあみなどせむとて、あたりのよろしき所におりてゆく。海を見やれば、
  雲もみな波とぞみゆる海人もがないづれか海と問ひて知るべく  
となむ歌よめる。さて、十日あまりなれば、月おもしろし。舟に乗りはじめし日より、舟には紅濃くよき衣着ず。それは、海の神に怖ぢてといひて。何の葦蔭にことづけて、老海鼠のつまの胎貝鮨、鮨鮑をぞ、心にもあらぬ脛にあげて見せける。
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