土佐日記01/22

 廿二日。夜んべの泊まりより、こと泊まりを追ひて行く。はるかに山見ゆ。年九つばかりなる男の童、年よりは幼くぞある。この童、舟を漕ぐまにまに山も行くと見ゆるを見て、あやしきこと、歌をぞ詠める。その歌、
  漕ぎて行く舟にて見ればあしひきの山さへ行くを松は知らずや  
とぞ言へる。幼き童の言にては似つかはし。今日、海荒げにて、磯に雪降り、波の花咲けり。ある人の詠める、
  波とのみ一つに聞けど色見れば雪と花とにまがひけるかな  
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