(C)fusau.com
扶桑(ふさう)
電子の世界で古文(古文単語・古典文法・和歌修辞法・古典教養)を学ぼう
  • このサイトの使い方
  • 和歌
    • 『小倉百人一首』
      • 百人一首(歌)
      • 百人一首(文法・修辞法)
      • 百人一首(解題)
      • 百人一首・・・旧フレーム版
  • 歌物語
    • 『伊勢物語』(現代語訳つき)
  • 紀行文
    • 『土佐日記』
  • 随筆
    • 『方丈記』(古語ふりがな+説明口調の現代語訳つき)
    • 『徒然草』
  • 作り物語
    • 『竹取物語』
    • 『堤中納言物語』
    • 『宇治拾遺物語』
  • 近現代作家(芥川・太宰)
    • 芥川龍之介
    • 太宰治
  • 『古文単語千五百Mastering Weapon』(A水準450語WEB見本版)
Browse: Home / 宇治拾遺物語(巻二 七)025鼻長き僧の事
古歌・古語・古文の総合サイト「扶桑 fusau.com」
■(a-head)■ ▼(a-foot)▼ ▼P-BOTTOM▼

宇治拾遺物語(巻二 七)025鼻長き僧の事

By のとじゃうご on 2009/05/18

 昔、池の尾に善珍内供といふ僧住みける。真言などよく習ひて年久しく行ひ貴かりければ、世の人々さまざまの祈りをせさせければ、身の徳ゆたかにて、堂も僧坊も少しも荒れたる所なし。仏供、御灯なども絶えず、折節の僧膳、寺の講演しげく行はせければ、寺中の僧坊に隙なく僧も住み賑ひけり。湯屋には湯沸かさぬ日なく、浴みののしりけり。またそのあたりには小家ども多く出で来て、里も賑ひけり。
 さてこの内供は鼻長かりけり。五六寸ばかりなりければ、頤より下りてぞ見えける。色は赤紫にて、大柑子の膚のやうに粒に立ちてふくれたり。痒がる事限りなし。提に湯をかへらかして、折敷を鼻さし入るばかりゑり通して、火の炎の顔に当たらぬやうにして、その折敷の穴より鼻さし出でて、提の湯にさし入れて、よくよくゆでて引きあげたれば、色は濃き紫色なり。それを側ざまに臥せて、下に物をあてて人に踏ますれば、粒立ちたる孔ごとに煙のやうなる物出づ。それをいたく踏めば、白き虫の孔ごとにさし出づるを、毛抜にて抜けば、四分ばかりなる白き虫を孔ごとに取り出だす。その跡はあなあきて見ゆ。それをまた同じ湯に入れて、さらめかし沸かすに、ゆづれば鼻小さくしぼみあがりて、ただの人の鼻のやうになりぬ。また二三日になれば、先のごとくに大きになりぬ。
 かくのごとくしつつ、腫れたる日数は多くありければ、物食ひける時は、弟子の法師に、平なる板の一尺ばかりなるが、広さ一寸ばかりなる鼻の下にさし入れて、向ひゐて上ざまへ持て上げさせて、物食ひ果つるまではありけり。異人して持て上げさする折は、あらく持て上げければ、腹を立てて物も食はず。さればこの法師一人を定めて、物食ふ度ごとに持て上げさす。それに心地悪しくてこの法師出でざりける折に、朝粥食はんとするに、鼻を持て上ぐる人なかりければ、「いかにせん」などといふほどに、使ひける童の、「吾はよく持て上げ参らせてん。さらにその御房にはよも劣らじ」と言ふを、弟子の法師聞きて、「この童のかくは申す」と言へば、中大童子にてみめもきたなげなくありければ、うへに召し上げてありけるに、この童鼻持て上げの木を取りて、うるはしく向ひゐて、よき程に高からず低からずもたげて粥をすすらすれば、この内供、「いみじき上手にてありけり。例の法師にはまさりたり」とて、粥をすするほどに、この童、鼻をひんとて側ざまに向きて鼻をひるほどに、手震ひて鼻もたげの木揺ぎて、鼻外れて粥の中へふたりとうち入れつ。内供が顔にも童の顔にも粥とばしりて、一物かかりぬ。内供大きに腹立ちて、頭、顔にかかりたる粥を紙にてのごひつつ、「おのれはまがまがしかりける心持ちたる者かな。心なしの乞児とはおのれがやうなる者をいふぞかし。我ならぬやごとなき人の御鼻にもこそ参れ、それにはかくやはせんずる。うたてなりける心なしの痴者かな。おのれ、立て立て」とて、追ひたてければ、立つままに、「世の人の、かかる鼻持ちたるがおはしまさばこそ鼻もたげにも参らめ、をこの事宣へる御房かな」と言ひければ、弟子どもは物の後ろに逃げ退きてぞ笑ひける。
← 前章へ戻る  『宇治拾遺物語』  次章へ進む →
「現代日本語訳」
「文法解説」
[解題]
★自分の「ツィッター」アカウント上で、この『宇治拾遺物語』の章を紹介してみる→Tweet

Posted in 作り物語, 宇治拾遺物語, 宇治拾遺物語(本文), 散文 | Tagged 反権威, 笑い話, 芥川龍之介

・・・作者のツイッターつぶやき集・・・(現国・小論文のネタに最適or最悪?)
▲(a-head)▲ ▲P-TOP▲ ▼P-BOTTOM▼
WEB全体から検索:
Google
カスタム検索

「扶桑(ふさう)」記事内限定検索

案内板

  • このサイトの使い方
  • 和歌
    • 『小倉百人一首』
      • 百人一首(歌)
      • 百人一首(文法・修辞法)
      • 百人一首(解題)
      • 百人一首・・・旧フレーム版
  • 歌物語
    • 『伊勢物語』(現代語訳つき)
  • 紀行文
    • 『土佐日記』
  • 随筆
    • 『方丈記』(古語ふりがな+説明口調の現代語訳つき)
    • 『徒然草』
  • 作り物語
    • 『竹取物語』
    • 『堤中納言物語』
    • 『宇治拾遺物語』
  • 近現代作家(芥川・太宰)
    • 芥川龍之介
    • 太宰治
  • 『古文単語千五百Mastering Weapon』(A水準450語WEB見本版)
« Previous Next »
...当サイト主宰者の本(とか):
『古文単語1500Mastering Weapon』
入試必須450古語WEB interactive版
初級A水準450古語WEB見本版
『扶桑語り』(古文WEB独習教材)音声ガイドwith voiceroidわりやすどもえ
★ツィッターで紹介→Tweet

週別書庫

2012年5月
日月火水木金土
« 11月  
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031 

RSS 最新記事

  • いまのよにかさねみるべき『はうぢゃうき:方丈記』かくもしるけきりんゑさんざん
  • !近日発売?『古文単語1500マスタリング・ウェポン』PDF立ち読み版 & 基本450語まるごとWEB見本版
  • 【かかるホドに】・・・で書かれぬモノ
  • 【言問ふ】は、ただの質問のみにてはあらず
  • 【歌】・・・うたた・・・うたて・・・
  • 「すさび」がすさんで感じるわけ
  • 【つれなし】と【うたて】
  • 【すくすく】・【すくよか】が嫌われる時代&土地柄
  • 【見る】は恋愛の始まり?それとも終わり?
  • 古典時代の【垣間見】は罪にはあらず
  • 【さらしな日記】って公開ブログ?
  • 【のたまふ】=「のりたまふ」
  • 【おす】【めす】【はむ】【くふ/くらふ】【たぶ】ん?・・・【マイル】還元、オッケーですか?
  • 【たまふ】?【たまふる】?
  • 【たまはる】人は目下?目上?
  • 素のままでは使わず、必ず他の敬語にブッ刺す形で使う「尊敬」の【す】・【さす】
  • 【rural:る・らる】(いなか)は「否:いな」のみ「可」なのが鎌倉以前
  • 【す】【さす】の「使役」が「尊敬」に転じる理由
  • 【ゆ】【らゆ】~【らる】【る】
  • 【為す】にならない【なす】は【做す】

声

    技術関連

    • ログイン
    • 投稿の RSS
    • コメントの RSS
    • WordPress.org

    (C)著作権表示(Copyright)

    引用された古典文物については、著作権の懸念なく複製・引用等御随意にお使いください。
    引用された文物以外はfusau.comのオリジナル創作物につき、無断使用は御遠慮ください。 (Twitterでのつぶやき等の「出典(fusau.com)明示型引用」は御自由にどんどんどうぞ)

    関連・協賛・推奨WEBサイト

    • It's only FAB! (re: The BEATLES)

    All Rights Reserved: Copyright © 2012 扶桑(ふさう)

    ...Send e-mail at: admin@fusau.com

    WEB design Based on: WordPress (THEME = Hybrid )

    ★自分の「ツィッター」アカウント上で、このサイトを紹介してみる→Tweet

    和歌技法・用語等で検索&古文・和歌力の腕試し

    いじめ うんこ お国自慢 さかしら わらしべ長者 ク語法 下ネタ 人だまし 仕返し 係り捨て 係り結び 剛胆 反権威 名引き 報恩 夢解き 大蛇 太宰治 孔子批判 序詞 怪異 愚鈍 扶桑語り 折り句 掛詞 教訓 本歌取り 本説取り 枕詞 歌徳説話 歌枕 歌物語 物名 現世利益 生贄 異国譚 知略 笑い話 縁語 縁起 芥川龍之介 近親婚 釈教 陰陽師 離合 駄洒落
    ▲(a-head)▲ ▲P-TOP▲