宇治拾遺物語(巻十 四)117浄蔵が八坂の坊に強盗入る事

 これも今は昔、天暦のころほひ、浄蔵が八坂の坊に、強盗その数入り乱れたり。然るに火をともし、太刀を抜き、目を見張りて、おのおの立ちすくみて、さらにする事なし。かくて数刻を経。夜やうやう明けんとする時、ここに浄蔵、本尊に啓白して、「早く許し遣はすべし」と申しけり。その時に盗人ども、いたづらにて逃げ帰りけるとか。
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