宇治拾遺物語(巻十二 二三)159水無瀬殿[鼠吾]の事

 後鳥羽院の御時、水無瀬殿に、夜々山より、から笠程なる物の、光りて御堂へ飛び入る事侍りけり。西面の者共、面々に、「これを見あらはして高名せん」と心にかけて用心し侍りけれども、むなしくてのみ過ぎけるに、ある夜、景賢ただひとり、中島に寝て侍りけるに、例の光り物、山より池上を飛び行きけるに、起きんも心もとなくて、あふのきに寝ながら、よく引て射たりければ、手ごたへして池へ落ち入る物ありけり。その後、人々に告げて、火ともして、面々見ければ、ゆゆしく大きなるむささびの、年古り、毛なども禿げ、しぶとげなるにてぞ侍りける。
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